新潟家庭裁判所 昭和30年(家)3189号 審判
国籍
韓国(本籍 韓国慶尚北道○○郡○○面○○○)
住所
新潟県○○○郡○○○町大字○○○○○番地
申立人
孫有道(仮名) 外一名
国籍
日本
住所
申立人に同じ
事件本人
中村トヨ子(仮名)
主文
本件申立は、却下する。
理由
本件申立の要旨は、
申立人等は昭和二二年一〇月○○日婚姻して同棲しているが、子女がないため養子をもらおうと希望していたところ、事件本人を養子にもらうことになつたから、その許可を求める。
というのである。
よつて案ずるに、申立人等は韓国人であつて、本件養子縁組は養親たるべき韓国人と養子たるべき日本人との間の縁組であるから、その要件は法例第一九条により、各当事者につきその本国法によつてこれを定めなければならない。然るところ養子縁組の要件について韓国において行われている身分法上の慣習によれば、少くとも「養父となるべき者は、自己と同性同本の傍系卑属である子の行列に該当する者でなければ養子にはできない」ものであることが認められ、そのことは目下立法化されようとしている大韓民国民法草案(壇記四二八八年韓国六法全書登載)によつても明らかである。
然るに本件の養子となるべき中村トヨ子は、日本人たる本籍新潟県○○○郡○○○村大字○○○○番地中村一郎(中村兵吉の長男)とその妻であつたミサ子(高橋作兵衛の三女)の子であり、養父となるべき申立人孫有道の姓本は○○○であつて、前記要件を欠くことが明らかである。
よつて本件申立は不適法として却下することとし、主文の通り審判する。
(家事審判官 野本三千雄)